前方を走る車のテールランプを眺めながら、瑠衣斗の香りに安心感と心地好さを覚える。
抱き締められた時、すごく気持ちが良くて、何だかほっと気が楽になった。
温かく力強い腕は、振りほどく気さえ起きなくて、身を委ねてしまいたい程で。
何だか瑠衣斗に包まれているような暖かさを感じながら、私は目を閉じた。
「………」
ふと前のめりになった感覚に、目を開けた。
…どこだここ。
まだ働かない頭のまま、目線だけを動かして周りを見た。
「お疲れ~」
お疲れ?…あ、そうだった。
龍雅の欠伸の混ざる声を聞いて、一気に目が覚めた。
「じゃーな。また来いよ」
「おう。明日にでも~。慶兄もまたなあ」
「ああ、またお邪魔するよ」
後ろでそんなやり取りが聞こえてきて、ガバッと起き上がった。
「お。ももが起きたぞ」
瑠衣斗がそう言うと、龍雅がおもむろに声を掛けてきた。
「寝顔かわいかったぜ!!待ち受けにさせてもらったから~」
「はあ!?やめてよ!!」
勢いよく振り返ったが、龍雅は瑠衣斗に「運転お疲れな~!!またな!!」と言って、バタンとドアを閉めてしまった。
「…もぉ~サイアク…」
振り返ったまま呟くと、慶兄と宗太が笑っていた。
…ホントに最悪。