微かな揺れと車内の音楽を聞きながら身を委ねていると、心地好さからふわふわと眠気に誘われてくる。


「眠いか?上着貸すぞ」


「えっ?だ、大丈夫」


いつの間にかうとうとしていたらしく、頭がカクカクしていたと思う。


「気にせず寝ろよ。起こしてやるから」


そう言って、器用にパーカーを脱いでしまった。


「ほれ」


そう言って差し出されたパーカーを受け取らされた。


「ありがと。借りるね」


上半身に掛けると、瑠衣斗の甘くて爽やかな香りがした。


何だかとっても落ち着く。


「るぅの匂いっていい匂いだね」


「はあ?な、何だよそれ」


キョドる瑠衣斗を尻目に、クスクスと笑いが漏れた。



「ちゃんと安全運転してね」


「…分かってるし」


何だかふてくされた瑠衣斗は、とってもいじめたくなるように可愛かった。



でも、そんな事言ったら逆にいじめられそうだから、絶対言わないけど。