「出発しますよ~」
瑠衣斗が声を掛けると、後ろから元気よく「は~い!!」と龍雅が返事をした。
座席へしっかりと座り直し、シートベルトを締めた所で、瑠衣斗はギアをドライブへと入れた。
来た道とは違って、すっかり辺りは暗くなってしまった。
山は暗く、どこを見渡してみても真っ暗だ。
ギャアギャアと騒がしかった後ろの席では、疲れてしまったのか、龍雅の声は聞こえてこなくなっていた。
慶兄と宗太の声が聞こえるので、二人は起きているようだった。
「運転大丈夫?」
ハンドルを握る瑠衣斗を見ると、テールランプが瞳に写り込んで赤く輝いている。
顔を赤く染めた瑠衣斗は、前を向いたままかすかに口元で笑って見せた。
「運転は好きだから大丈夫」
「そっか。無理せず休憩しなよ」
「はいよ」
車内に流れる音楽を聞きながら、車は順調に高速へ乗り込んでいった。