帰りは、俊ちゃんと美春を二人きりにさせてあげようと思い、私は瑠衣斗の車に乗り込んだ。

毎度の事だが、急に集合をかけるクセに、現地解散がお決まりだ。


「もも~!!じゃあまたね♪ゆっくり休むんだよ!!」


助手席に乗り込んだ私は、窓を開けて身を乗り出していた。


「うん、ありがとう。俊ちゃんとラブラブしちゃって」


「んもお!!当たり前じゃん♪」

そう言ってニコニコと嬉しそうに笑う美春は、本当に可愛いい。


「またね。帰りは別だけど、気を付けてね」


「うん!!俊ちゃんは安全運転だから大丈夫だよ!!」


「そうだね」


それはきっと、大切な人を乗せているからなんじゃないだろうか。


俊ちゃんの優しさは、こう言うさり気ない優しさなんだ。


私が笑うと、美春は大きく手をふって「じゃ~ねえ!!」と 俊ちゃんが待つ車へ駆けて行った。


見納めだと思い、もう一度海を見渡すと、空は赤から段々と紺色へとグラデーションしていっていた。


満月に近いまん丸のお月様が、私達を見下ろしている。