きっと慶兄は、自分から行かなくても、周りの女性が放っておかないだろう。


病院で見掛ける患者さんも、女性が多い気がする。


モデルでもやっているような小さな顔は、バッチリ整っているし、身長だってスラリと高い。


笑顔は花が咲くように優しく、周りを明るくするようだ。



「だから俺…、ある意味初めてだな」


「初めて?」


私が聞き返すと、慶兄は私に視線を移し、優しく笑った。


「俺のモノにしたいって思った事が」



心臓が、ギアをチェンジしてバクバクと高鳴る。


顔が茜空のように赤く染まっていくのが分かった。