「なあ、もも」


「ん?」


宗太に視線を向けると、宗太は海を見ながら私に話を続けた。

「ももは、るぅが気になる?」

「…気になる?」


今、慶兄と歩いて行ってしまった事をと言っているのだろうか?


「るぅ自身をだよ」


海から私に視線を移すと、優しく口元だけで微笑んだ。


「るぅ自身…」



倒れた私を、病院まで運んでくれ、何時間も目を覚ますのを待ってくれて、家でご飯まで作ってもらい、お風呂まで借りて更には泊まって朝ごはんまでご馳走してくれた。





『心配だ。守ってやりてえ。俺が』



忘れた訳ではなかった。忘れる事なんてなかった。


むしろ、鮮明に頭に焼き付いてている。


でも、きっと瑠衣斗は友達や仲間として心配してくれているのだろう。



「あいつさ、自分の事話さねえじゃん?」


「うん」


「話さねえ分、顔とか行動に出てるから分かりやすいんだよなあ」


「え?そお?」


「ももは激ニブだからなあ」


クスクスと目を細めて笑うと、私にそのまま顔を向けた。