「で、何で作らないの?」


ふうーと笑いを引っ込めて、改めて聞き直した。


「別に…欲しいと思わないから」


「え…るぅ本当に男の子?」


横目で睨まれたが、軽くスルーした。


「もうあと一ヶ月もしない内に二十歳になる男子が?ありえない…」


「間違いなく俺は女ではないぞ」


「…でかすぎだしね」


「…ちいせえ奴に言われたくねえ」


『………』



しばらく無言で睨み合った。



「そりゃ…欲しいと言えば欲しいぞ」


「ふ~ん?」


絶対言わないけど、瑠衣斗と一緒に大学や普通に道を歩いていると、ほとんどの女の子は振り返ったりしている。


姿勢も良いし、背も高いだけあってスタイルも良い訳だし、顔だって整っている。


「好きな女以外いらねえよ」


溜め息のように吐き出した言葉に、驚いて瑠衣斗を見上げた。

…え…まさか。


「な、んだよ」


怪訝な顔をして、私を見る瑠衣斗は、どこか戸惑った様子だ。

「好きな人いるの!?」


「へっ…」


言われた事に、驚いたように固まってしまった。


「居るんだ~!!誰?誰?どんな人?私知ってる?」


興奮気味に身を乗り出して瑠衣斗に詰め寄ると、瑠衣斗は顔を赤くして軽く身を引いた。


「ちょ…ちけえよっ」


言いながら前に向き直ると、瑠衣斗は真っ赤な顔で深い溜め息をついた。


「はあ~…んっとにどん……」


語尾に行く程小さくなった言葉は、波の音に掻き消されてしまって聞き取れなかった。


「…は?何?」


私の声に振り返った瑠衣斗は、心底呆れた顔をしていた。



…何かその顔ムカつく。