「そう言えば、るぅは何で彼女作らないの?」
こう見えて、高校生の頃から一緒にいるが、瑠衣斗はモテた。
こう見えてって言うのは怒られそうだけど。
「え?う、う~んとだな、え~…」
何でどもってんだろう。
不思議に思い、瑠衣斗を見上げると、少し困ったように眉をしかめた。
髪の隙間から、時折吹く優しい潮風に髪がなびいて、左耳のシルバーのピアスが見え隠れしている。
私が高校生の頃、誕生日に瑠衣斗にプレゼントした物だった。
「そのピアスまだ付けてたの?」
「…ん?ああ、コレ?」
そう言って左手でピアスを触ると、口元で笑ってみせた。
「気に入ってんだよ。俺のちょー好みのデザインだから」
仲間内で一番誕生日が早い瑠衣斗に、高校一年の頃あげた物だった。
美春と二人でプレゼントを買いに出掛け、たまたま入ったお洒落な雑貨屋で、一目惚れして買った物だった。
沢山あるピアスの中で、瑠衣斗に一番似合うとも思い、奮発したっけ。
「ずーっと付けてんだぜ?すげーだろ」
「ちゃんと消毒とかしてる?臭くない?」
「してるに決まってんだろ」
速攻で凄まれた。
「…そ、そっか…」
「てめ…笑ってんなよ」
何だかすごく嬉しくて、胸が温かくなった。
…ありがとう。
とは恥ずかしいから言わないけど。