相槌をずっとしてくれていた瑠衣斗が、急に静かになったので、視線を瑠衣斗に向けた。

「…るぅ?」


心なしか…顔が赤い?


「あ…いや、その通りだなと思ってただけ」


視線が合うと、すぐにそらされてしまった。


「…そう?」


「うんうん」


まあ、いっか。


視線を海に戻して、独り言のように呟いた。


「…でも、ちゃんと考えてみる。慶兄をちゃんと見てみる」


「…そっか」


恋って、難しい。色んなカタチがあるけれど、私にはどれもまだ分からない。


もうすぐ二十歳なのに、ちょっとヤバいかもだけど。



でも、私は私なりの恋をしたいから、焦らないでゆっくり恋をしよう。




恋した人に、いつか溺れてみたい。


今はまだ、そう言う時期ではない気もするし。




慶兄の事は、ちゃんと考える。
答えが出た時、しっかり返事ができるように、自分の気持ちもしっかり自分で知りたい。





恋する事を諦めていたのかもしれない。


本当に、家族を失って感情が欠落しているのかもしれない。


周りをよく見ずに、どこかで壁を作っている事は分かっていた。


いつか、その壁を越えれる日が来た時は、きっと素敵な恋を始めた時かもしれない。



私はそっと目を瞑り、潮風をいっぱいに吸い込んだ。