「言われて好きになる場合もあるだろう?」


「…ない」


告白されて、付き合った事はある。

でも結局、私の気持ちが熱くなる事はなくて、終わってしまうんだ。


今考えたら、とっても相手に対してすごく失礼で酷い事だと思う。

「意識したりはもちろんするよ。でも、好きになるとは限らないじゃん」


私の場合だけどさ。


「ももはさ、ゆっくり考えればいいんだよ。時間は沢山あるんだろう?」


気付いたら俯いていた私は、頭に大きな手の感触に顔を上げた。



顔を上げた先には、優しく微笑む瑠衣斗の顔が、私の顔を覗き込んでいた。



一瞬ドキッとして、慌てて目を反らした。


「け…慶兄…の事、やっぱり好きにはならないと思う」


目線を下に移すと、サラサラと砂が指の間をすり抜けていった。


「何でそう思う?」


「その…言われて、ドキドキしたりしたけど、それは慶兄が年上で、大人な態度って言うか…何かそう言う動作にドキドキさせられてる感じだから…」


「うん」


「きっと、恋をしたら、その人を考えただけで、些細な仕草や行動だけで、心臓がドキドキしたりするんだと思う」


「…………」


……あ、れ?