しばらく並んで歩くと、ようやく目的のコンビニが見えてきた。
初めての土地とあって、この程度の徒歩も楽しめるものだ。
と言っても、歩く速度が遅いため、結構な時間が経っているようだった。
私の足では、片道徒歩30分はかっていそうだ。
往復で30分の予定だったけど。
自動ドアを抜けると、代わり映えない店内を見渡し、目的のブラックの缶コーヒを2つと、タバコを二箱購入した。
店員さんの明るい挨拶を背中に受けてコンビニを出ると、瑠衣斗はコンビニ袋をぶら下げたまま、堤防が途切れている場所から海岸へ入っていった。
私も後を追って海岸へ出ると、振り返った瑠衣斗が手招きして待っている。
追い付くと、そのまま波打ち際までやって来て、二人で砂の上に腰をおろした。
「ほい。ちょっとゆっくりして戻るか」
瑠衣斗は袋から缶コーヒを取り出すと、私に向かって差し出した。
「うん。そうしよ」
そう言って受け取り、タブを起こした。
ぼんやりと間近な海を眺めながら缶を口に運ぶと、コーヒの香りに、ホッとした。
隣に座る瑠衣斗も、ぼんやりと海を眺めているようだった。