足の短い私に合わせて、瑠衣斗がゆっくりと隣を歩いてくれている。
私が二歩足を動かすのに、瑠衣斗は一歩って所だ。
何だか親子みたい。
自然と固くなっていた顔の筋肉が、ほぐれていく気がする。
瑠衣斗と居ると、自分自身とても楽だった。
変に気を使って話す事もないし、一緒にいて疲れる事がない。
「なあ、ももは来るのか?」
「え?何が?」
見上げると、瑠衣斗は顎を撫でながら前を向いていた。
「実家だよ。うちの親うるせえだけだぞ。田舎だし」
少し呆れたように言う瑠衣斗は、何故か眉を寄せて渋っているようだ。
「行くよ?何かすごい賑やかそうじゃん。私田舎好きだし」
「…だからうるさいだけだ」
何でそんなに嫌そうなんだろう。
嫌と言うか…何か違う気もするけど。
「ねえ…るぅは家キライ?なの?」
少し遠慮気味に聞いてみると、瑠衣斗が私に一瞬目を向け、すぐに前方に向き直した。
「コキ使われるんだよ」
溜め息まじりにそう言うと、腕を組んで首を項垂れた。
サラサラと髪が流れ、瑠衣斗の顔を覆ったが、すぐに瑠衣斗は顔を上げた。
「へえ~。末っ子…?次男だから?」
「え?弟いるよ。あと姉貴」
あ~そうなんだ~。てっきり慶兄と二人兄弟かと…………
「えー!!るぅって四人兄弟…っ!?」
「言ってなかったなあ~そう言えば」
「初めて聞いた…かなあ」
「初めて言った…なあ」
へえ~…。