「慶兄…が?」
宗太の目が飛び出そうだ。
大丈夫だろうか。
「え?俺が何?」
再び固まるみんなに、いつも通りの慶兄は、何だかとても冷静だ。
「い、いつから…ももの事…」
美春も顎が外れそうだ。
心配だ。
「ん~?いつかなあ。確信したのは、ももが倒れた時かな」
そう話しながら靴を脱ぐと、ビニールシートに腰をおろした。
「……へえ」
少しづつみんなは冷静さを取り戻してきたらしい。
好奇心を丸出しにしたみんなが、慶兄の周りに大集合した。
私はそのままベンチに腰を下ろして、火照る体を冷まそうとタバコを取り出した。
「で!?カップル誕生なの?」
「いや、返事待ちだなあ」
「どこが好きなの!?」
「ん~…何か抱き締めたくなるような可愛さ?」
……ちょっと本気で止めていただけないだろうか。
そんな中、瑠衣斗だけは、シートにも座らず、ベンチにも座らないで屈んでタバコを吸っていた。
何だか機嫌の悪さのオーラを醸し出していて、近寄りがたい。
…近寄らないけど。