一通り食べて満足したらしい三人組は、ビニールシートに上がってそれぞれタバコを一服している。
美春と俊ちゃん以外が喫煙者という、喫煙率の高いグループだ。
慶兄も口にタバコをくわえ、火を付けようとして手を止め、瑠衣斗に視線をやった。
「瑠衣斗。今年の夏休みにでも家に帰ったらどうだ?」
「…は?…何で?」
ポカーンとしたままの瑠衣斗に、慶兄は続けた。
「みんなを連れてってやればいいじゃないか」
「…………」
そのまま瑠衣斗はフリーズしたが、美春がパックリと食いついてきた。
「行ってみた~い!!るぅちゃんと慶兄の故郷でしょ?行きたい!!」
美春が賛成なら、自動的に俊ちゃんも賛成だ。
「川があるから釣りも川遊びもできるし、温泉街だから民宿や旅館もたくさんあるぞ。あ、祭りもやるなあ」
「ちょ、慶兄!!まじで言ってんの!?」
ようやく解凍した瑠衣斗が、目をまん丸にして慶兄に聞いた。
「別に悪い話じゃないだろ?お前一人じゃ行かないだろうし」
「うん確かにな。……ちがう!!そう言う問題じゃねえ!!」
一瞬納得したかのように思えたら、今度は焦りだした。
「何か問題でもあるのか」
「…べっ…、別に」
どもる瑠衣斗を他所に、宗太と龍雅まで乗り気だ。
「川釣りかあ~。いいねえ」
「仲居さんかあ…俺仲居さんと仲良くなりてえ!!」
そんな二人の様子を見て、慶兄は口を開いた。
「じゃあ俺が連絡入れておいてやる。お前どうせしないだろ。車は心配ないよな」
「ああ~っ!!も~分かったよ…」
やっと折れた瑠衣斗は、ガックリと肩を落としている。
何がそんなに嫌なんだろう?
そう思っていると、慶兄の目が私に向けられた。