「お前ら自分で焼け」
そう言って慶兄は私の隣にやって来て、腰を下ろした。
長い足を伸ばして、両手をついて体を支えているような格好で、ピーマンの譲り合いをしている三人を眺めている。
「二十歳そこらじゃまだまだ食うよ。俺もそうだった」
「慶兄もそうだったの?」
そう言って慶兄を見上げている私に視線を向け、優しく微笑んだ。
少し固そうな黒い髪が、風になびき、太陽の光の下で茶色く透けていた。
瑠衣斗と同じ色素の薄い瞳に、吸い込まれそうだ。
「まあなぁ。そんな時もあった」
そう言うと、止まっていた私の箸を取り、お皿も持ってかれた。
「食ってやるよ」
そう言うと、そのままお皿の中身を口に運んだ。
「ありがと」
本当にギブだった私には、とっても有り難かった。