「もも?」
「っうぇ!?」
見ると、瑠衣斗が私の顔を覗き込んでいて、その近さに更に驚いた。
ぼーっとしすぎた。
「大丈夫か?」
心配そうに私に聞く瑠衣斗は、クーラーボックスを左肩から斜めにかけ、左手には膨らんだビニールの袋をぶら下げていた。
「大丈……何が?」
「いや、いーよ」
そう言って八重歯を見せてニッコリと笑った。
「おーし、準備するぞ~」
宗太が声をかけてロンTの袖を捲った。
男性陣は荷物をまとめて置き、コンロや椅子を組み立てだした。
ちょうど大きな桜の枝の下なので、日が昇っても日陰になるだろう。
私と美春も、大きなビニールシートを広げ、四苦八苦しながら風に飛ばされないようにシートを敷いた。