ずっと根気よく続く目眩に、耳鳴りがし始め、何だか気分が悪くなってきた。
窓に頭を預け、軽く目をつむっていると、気が付いた時には次が目的のバス停だった。
相変わらず瑠衣斗とは会話はなかった。
隣の瑠衣斗を見ると、腕を組んで俯いていて、少し長い髪で顔が覆われていた。
大きな欠伸もしてたし、眠たのかな?何て思いながら下車ボタンを押した。
「次だよ」
「ん?ああ」
声を掛けると、意外にもしっかりとした返事だったので、眠ってはいなかったようだった。
それぞれバスから降りると、並んで歩きだした。
今から向かう目的地は、いわゆる高校からの仲間と集まるたまり場だった。
バス停から10分も歩けば着く場所にあり、仲間内の一人の家だ。
その家の空き部屋には、こうしてしょっちゅう入り浸っている。
瑠衣斗を少し見上げると、何か考えるような表情をしていた。
ちょうど瑠衣斗の背後に太陽があり、その眩しさに強い目眩を覚えた瞬間だった。
体が軽く痺れるような感覚がする。
――…うわ、ヤバいかも。
そう思った瞬間、目の前の視界が、周りから徐々に真っ暗になった。
体に力が入ららず、足元がふわふわとする。
頭から冷や汗が出ているような感覚がしたかと思った時には、全身から冷や汗が吹き出しているようだった。
「…もも…?おい、もも!?」
目を開けても、目を閉じても、真っ暗な中にカラフルなマーブル模様が混じり、視界がぐるぐる回る。
―――…気持ち悪い。
そう声に出したはずだったのに、声が出なかった。
「大丈夫か!?どうした?もも?」
心臓が、ありえないくらいに強く脈を打っているのが分かる。
近くで瑠衣斗の声が聞こえているはずなのに、耳に蓋をしたように遠くに聞こえる。
「おいもも、も…―――!!」
最後に見た物は、カラフルなマーブル模様だった。