私は知らないうちに驚くほどに先生に依存していた。

「斎藤小春は1人じゃ何もできないダメ人間じゃない。こんなのじゃママとパパに見捨てられる。先生のことはきっぱり忘れる。」

この時はただ先生を忘れたい一心だった。

「ねぇ、きみ斎藤小春ちゃんって言うの?」

「え?」

振り返ると喋ったことも会ったこともない男の人たちがいた。

「だーかーらーきみの名前は斎藤小春ちゃん?」

「…違います。」

きっとこれは名前を言ってしまったらダメだ。
俗に言うナンパというやつだと思う。