「次はピアノ…行きたくないな。」

行きたくなくても行かないといけない。でないと見捨てられてしまうから。

私にはもう頼れる人なんていない。私の意思、気持ちなんてないようなものだ。

感情なんて忘れる。もう先生のことも忘れる。

そんなことを思っていたら部屋のドアがノックされた

「どうぞ」

「あ、斎藤…え?斎藤?なんかすごく綺麗だ…」

綺麗?私が?ワンピースに着替えただけなんだけど。

「あ、どうも…ありがとう。それで何?もうピアノに行かないといけないの。」

「あっそっか!ごめんな。怪我のことありがとうって言いたくてさ。じゃあな!また明日!」

「ええ。また明日。」

そう言って鈴木さんは部屋から出た。