「着いたぞ」


「わぁ…!」



エヴァンの言う通り、空には大きく輝く満月が浮かんでいた。

夜なのに月明かりのおかげで辺りは優しく静かに地面を照らしていた。



満月の美しさに感動していると、ふいに繋がれた手がすっと離れていき、私はなんだか寂しさを覚えた。

もう少し繋いでいたかったな…なんて欲張りな思いも溢れてくる…。





「ところでどうしてこんな夜中に外へ行こうと思ったんだ?」


「それが中々寝付けなくて…って私、こんな格好で…!?」



寝巻き姿のまま今までエヴァンといたことを今更気づいて1人で急に恥ずかしくなった。

そんなことを思っていると肩にすっと服がかけられる。




「風邪でも引かれたら困るからこれでも羽織っておけ」


「あ、ありがとう…」




ふわりとかけられた彼の上着からはジョシュアのマントとは違った香りがする。

この香りはパーティーの時、一緒に踊ったあの時と同じ…。




「あ…」




思い出していたら顔が熱くなるのを感じる。

どうしてだろう…。

ジョシュアといると気軽に話せるけれど、エヴァンといるとそれだけでドキドキして…うまく話せない。