「トオル!順番!」




タケが呼んでいる。




「…おー」



コートに入る。




後えいにいた俺に、




トスが上がる。




相手には当たらないように、




バックアタックを打ち込んだ。




点が決まって




田所さんに、視線をやってみる。




目が合う。




ん?





今度は、トスを上げる。




もっかい見てみる。




また目が合う。




??





審判の吹く笛の音。





上がる叫声。




ボリュームを下げたように



周りの音が遠ざかる。



ボールは、行き交っていたけれど




俺の意識は、コートの外にあって




田所さんから、視線が外せなくて




俺にジッと見つめられているから?




田所さんは真っ赤だ。




訳わかんねえんだけど。




何その感じ。




だって、今




田所さんも俺から視線外せないんだろ?



その反応は…




「トオル!!」




タケの声が頭に入ってきたときには




もう遅かった。




もろにボールが頭にぶつかって




ダセェ。




よそ見しすぎ。




あー寝不足だし。




やべぇ。




視界が暗くなる。