リコの発言に何も知らなかったエリナが口元に手をやって


「……ごめんね…そんな辛いときに呼び出したりして…」と目を伏せる。


「う、ううん!全然大丈夫!


大丈夫ってこともないけど、大丈夫」


リコ…日本語変。


リコは食べかけのガトーショコラを切り分けていたフォークを皿に置き、足を投げ出すと両手を床に置いた。


「あー、終わったんだなーって実感して。


でも、ハッキリ言ってくれて良かったって今なら思える」


そうゆうもんなのか。


まぁ、あたしも叔父貴に失恋したとき叔父貴はハッキリ言ってくれなかった。消化不良の恋はいつまでもあたしの中でくすぶっている。


「あの変態が『小悪魔ちゃんの第一回失恋会』開いてくれたけど、でも二回目は遠慮しとく」


リコが苦笑いであたしを見てきて


“あの変態”てのが誰だかすぐに想像できた。タイガのことだ。リコがキョウスケにはじめて失恋したとき、なんだかんだ偶然居合わせたあいつがリコの恋愛相談乗ってた。


けど


何て声を掛けていいのか分からず


「……リコ…」と呟くと




「でもね……なんか成り行きで…?


進藤先輩が傍についててくれて……」




キモ金髪が??まぁあいつ、何かとリコとつるんでたし、何気にあの二人仲良かったしな…


別にリコとキモ金髪が一緒に居ることは不思議じゃなかったけど…


「悲しかったけど、楽しかった…


倉庫の前でお酒飲んで、花火して…」


倉庫?花火??


リコはそこで言葉を切った。顔を赤くして両手で口を覆う。


「「?」」


あたしとエリナは揃って頭の上で『?』マーク。






「き……キスしちゃったの…」






き、キスぅ!!!!!


ぅう゛ぅう~~~~!!!!!!!!


忘れかけていた脳内ほら貝がまるで嵐のように吹き荒れたのは言うまでもない。