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「伶士さま…本当に学校に行かれるのですか?」




と、言いながらも忠晴は車を運転し、俺を乗せて学校へと向かう。

こんな高級外車で送ってもらうのは目立つから、いつもは公共機関で行くのに…。

学校の裏に停めてもらおうか。



「…行く!行くに決まってんだろ!」

「旦那様は休めとおっしゃってましたが…」

「悪霊の仕業?…んなもんで、学校休めるか!」




悪霊の仕業で学校休みます。




…だなんて、先生に電話できるか!

俺は、学校を休むほどの体調不良なワケではない。




あの衝撃の超常現象。

急に女の声が聞こえてきた、耳元で怒鳴られたと思ったら。

口を塞がれ、後ろに引っ張られ。

顔と胸に何かドンッ!とぶつかってきたと思ったら、椅子から転げ落ちてしまい。



そして…気が付いたら、顔と胸に口紅で付けられたキスマークが無数にあった。



いったい、何の現象だ?

口紅キスマークだらけの顔…まるで、ドラッグクイーンに散々辱しめられたという、芸人のネタのようだった。

血糊のような紅色ではなく、ピンクだが。


しかし、そんなドラッグクイーンなどいるワケがない。



しかし、その超常現象。

親父は『悪霊の仕業』だと言い出した。




…悪霊?