そんなずーんと落ち込んだ鈴代を店内に置いて、菩提さんに連れられて外に出る。
店の前には、忠晴が車の傍に立っていて、後部座席のドアを開けていた。
「…じゃあ、伶士くん。長丁場になるかもしれないけど、最善は尽くします」
そう言って、俺に頭を下げる菩提さん。
(………)
生き霊だの、怨念だの。
結界だの、ボディーガードだの。
何が何だかよくわからないが。
俺はまだ、信じてない。
呪いだとか、悪霊だとか。
でも…。
「よ、よろしくお願いします…」
状況からいって。
とりあえず、お願いするしかなさそうだ。
もし、これで何もなかったら、それに越したことはない。
何にもなかったねー?良かったねー?なんて。
やっぱり、世の中平穏が一番。
平凡も一番。
毎日同じ事の繰り返し、上等。
それが一番の平和。
…しかし、これから。
呑気にそうとも言ってられない事態が、待ち受けているのだった…。