「それじゃ、伶士くん。しばらくの登下校は、執事の方に送迎してもらって下さい。先ほど御宅訪問した時に、家と執事さんの車に結界を張らせてもらいました」
「結界…?」
「まあ、悪い霊に対する見えないバリケードぐらいに思って?結界内にいるうちは身の安全は保障します。…あ、早速お迎え来たみたいだよ?」
「え…」
菩提さんが指を差している窓の外を見ると、カフェの前にはすでに、我が家の執事の車が停車している。
忠晴、なぜ…!
「終わる大方の時間伝えて迎えに来て貰ったんだ」
「えっ!そこまで!」
「うん。今日はここまで。お疲れ様。何かあったら連絡してください。こっちからもこまめに連絡させていただきます」
「は、はい」
そうして、二人同時に席を立つ。
本日はもうお開きの時間、ということ。
椅子を戻してカバンを肩にかけていると、菩提さんが「表までお見送りするね」と、傍にやってくる。
「すみません」と頭を軽く下げたその先には、鈴代なずながこっちの様子には目もくれず、目の前のほうじ茶ラテとナッツを口にしてニコニコしていた。
こっちのことには全然興味がないらしい…。