「あ、ないのね。そんなにムラムラしてないのね」
「うるせえぇぇっ!」
「じゃあ色情霊のセンは無し。…あと、最後にヤッたのが二ヶ月前かぁ。…そのイモブタ富岡は男バスのカレシがいるし。嫉妬に狂った身近な人の生霊の仕業でもなさそう」
イモブタ言うな。
酒とムードに流されての出来事だったから、別に好きじゃなかったけど…って、おい。
「っつーか、この人イケメンだからね。知らないところで嫉妬に狂ってるメスいるかもしんないな」
「…何だそれは!」
イケメン言うな…メス言うな!
「色情霊でも最近の女の生霊でもない。…じゃあ、何と考える?」
菩提さんが、いつの間にかタブレットに文字打ちしながら、さっきよりも冷たい口調で言う。
質問された鈴代なずなは、「うーん…」と天を仰いで考え込んでいた。
「朝っぱらからそんなに障気を家に残してんだったら、生き霊のセンが強いと思うけど…やり口が怨念の呪い飛ばしみたいな…」
「確定は難しい、か。引き続き調査を続けるよ」
「このイケメンの身辺調査は私がしとく。あ、あと…」