「…伶士、伶士!」
「ん…」
体を揺さぶられて、目が覚める。
目を開けたそこには、なずなの顔があった。
「あ…俺、また寝てた…」
「体調万全じゃないから仕方ないって」
「………」
いや、いじけて寝てたようなもんだけどね?
あの後、いじけるように布団に潜っていたら、また寝てしまったのか。
で、またなずなに起こされる。
さっきと違ったパターンだけど。
「…で、何」
怠い体をゆっくり起こす。
今寝たから、さっきよりはだいぶマシにはなった。
「忠晴さんが、ペンチャン始まるから伶士を起こしてこいって」
「…あ!」
そうか。今日は土曜日…!
「むふふー。一緒に見よー」
…一緒に見るってか。
こんなマニアック番組、一緒に見ようとか言ってくれるヤツ。
この先、現れんのかな…。
下に降りると、忠晴が「飲み物用意してますよー」と、キッチンにいた。
テレビの目の前のソファーまで持ってきてくれる。
「親父は?」
「ただいま出掛けております。夜までには戻るそうです」