今となっては、本当にわからないよな。


思い巡り、耽ってしまう。



「っつーワケで、伶士。家帰ったら襲撃計画たてよーぜ?いひひ…」

「俺、体しんどい、眠い…」

「ああぁぁ…妖気に当たりまくったからな。熱出るぞ。今日はもう寝るか」

「伶士さま、週末は部活をお休み下さいませ。私が明日連絡しておきます」

「いい…自分でする」




帰路の途中、家への到着を待たずに眠ってしまったのは、言うまでもない。

…そんな中、ホテルに残った二人がこんな話をしてるとは、思わず。







「…社長、お話があります」



そう言って、橘社長と事務所代表である菩提剣軌がホテルの最上階にあるラウンジに向かったのは、それから間もなくのこと。

絶好の夜景をバックに、カウンターの隅の席で、グラスを鳴らしていた。



「菩提、今回は本当ご苦労だった。おまえらに尻拭いされた感じだけど」

「ははっ。社長も女には気を付けてくださいね?」

「バーカ。結婚してからは妻一筋だっつーの」



グラスの氷がカランと音を鳴らす。



「…で、話って何だ」



剣軌が煙草の蓋を開けると、すかさず「俺にも一本くれ」と手を出しながら、話を始める。

「禁煙してないんですか」と、言いながらも一本手渡し、ライターを渡す。

社長は、自分で煙草に火を点けてその煙を深く吐き出していた。