…こんなこと、信じてもらえるかはわからないが。
取り敢えず、ありのままを話すことにした。
「…夢の中です」
そう話した時。
一瞬だが、菩提さんの顔色が変わった。
しかし、それはほんの一瞬だけで、すぐにいつもの優しく笑みを乗せた顔に戻る。
「夢の中…」
「はい。信じてもらえるかはわかりませんが、ここに来る直前に、夢の中で彼と話をしたような気がします…」
「話を…?どんな?」
「内容は大したことないですが…話し掛けたら驚いていたような気がしましたし」
「伶士くんが…話し掛けたの?」
「はい。あまりにもこっちを見てきたような気がしたので」
「そうか…わかった。ありがとう」
わかったの?これで?
会話はこれで終わってしまい、菩提さんは歩きながらもしばらく考え込んでしまった。
何を考えているんだろうか…。
それはさておき、取り敢えず一件を終えた。
親父たちと菩提さんは会場に残り、俺となずなは忠晴の車に乗って、家に戻ることとなる。
忠晴が正面エントランスまで車を移動させ、そこで親父たちに見送られるカタチとなった。