意味もなく変にドキドキしていたが。
一方では、菩提さんのトゲのあるお言葉が鈴代なずなに投げ掛けられていた。
…説教?
「…しかし、遅い。遅すぎる。あと5分遅かったら減俸だったよ。時間はきちんと守りなさい」
「あのねぇ。私は今、ひとつ仕事を終えてから来たの!学校の裏の星天神社の祠の見廻り!…時間押したの!致し方無い遅刻ですが!」
焦って反論する鈴代なずなだが。
菩提さんの口調は一層キツいものになっていた。
「致し方無い遅刻?…じゃあ、連絡の一本でもいれろ。それが社会人のマナーだ」
「社会人…私、高校生だけど!」
「金を稼いでいたら高校生だろうが社会人だよ。それに、神社の巡回なんてすぐに終わるだろ。学校終わってすぐ向かえば全然余裕のスケジュールだったはずだけど?…何をしてたんだ?」
「いや、それは…」
そこで、鈴代なずなは口をつぐんだ。
…ひょっとして。
あの悪そうな二年生との口論。
あれがタイムロスだったんだろうか。
「…ひょっとして、また男に言い寄られてたの?上手くあしらう技術を持ちなさいって言ってるだろ」
「ううぅぅ…」