「…唐紅の錦・黄金色の稲穂・橙の狭間・金色の絵巻…」

《嫌、イヤ…私と一緒じゃなきゃ、いや、嫌っ…!》




その時、映像が頭の中に飛び込んでくる。



スーツ姿の着飾った金髪の女性…。

ガラケーを手に、微笑む女性の顔。




ストロボのフラッシュと共に、頭の中に入り込んでくる。



金髪?これ…もしかして。

鹿畑倫子さん…?



ふと、傍にいる母さんを見ると、目を大きく開いて固まっている。

「倫子さん…?」と、呟いていた。

まさか、母さんにもこの映像が…?




「…これは、鹿畑倫子さんの記憶です」




真っ正面を向いたままの菩提さんは、そう俺達に伝える。



「記憶…ですか?」

「追想、というか。鎮魂して妖化を解く過程で、彼女の精神世界がどうしても映像化してしまいます」

精神世界、映像化…。

それは、心当たりがある。

部屋で襲われた時に、ほんの少しだけ覗いてしまった。

彼女の…親父との過去のやり取りを。



「…我々はそれを受け止めなくてはならないと思っています。彼女の思いも、願望も。我々の仕事は『心』を扱う仕事でもありますから」