「…天を慈しみ 讃えよ 大地を愛し 生きよ…」
なずなの体全体から、淡い光が滲んでいる。
そして、同じ光が…妖怪の姿をした、鹿畑倫子さんの体をも包んでいく。
「…風に色を覚え 喜びを感じるるは 感謝せよ…」
《…あああぁぁぁ…あああぁぁぁ…》
更に悲鳴が聞こえてくる。
苦しい…のか?
「…その懐に 我らの艶やかなる色を感じ その立つ土に 感謝せよ…」
けれど、ただ苦しみもがいているだけではない。ような気がするのはなぜか。
《やめてぇぇぇっ!…やめてぇぇぇ…行かないでぇぇ…》
「讃頌…言霊『鎮魂』」
パン、と手を叩く。
途端に眩しい光に包まれて、一瞬だけ視界を奪われた。
(わっ…!)
《行かないで…行かないでぇぇ…》
叫び声が耳に入りながらも、思わず目を伏せてしまう。
なずなの声も…聞こえてくる。
「…群青の空・白銀の雲・金璽鳥の羽衣・冴緑の雫…」
しかし、光が落ち着いたと思ったら、そこは徐々に暗転されていく。
まるで、それは。
映画の開演前のように。