「伶士くん!」



菩提さんの制止も聞かず、気がついたら飛び出していた。

悲鳴をあげて、頭を伏せる母さんに手を伸ばす。

けど、間に合わな…。



しかし、無数の手が母さんにかかりそうになったその寸前で、間を隔てるようにあのピンクのガラスが一際大きいサイズで登場する。

阻まれた手はモロにピンクのガラスに衝突し、バシッ!と電気のショート音を鳴らして後方に反り返っていた。



あれは、蓮華曼陀羅陣…!



(なずな…!)



「奥様、ナイスファイト。母は強し、って?」

「なずなさんっ!」



そこには、母さんを背中に庇い、蓮華曼陀羅陣をかざして登場した、なずなの姿が。

こんな状況ながらも、不敵な笑みを浮かべている。



大丈夫だったのか…。



…その、不敵な笑みを頼もしくも感じ。

安心させられる。




「…母さん、何やってんだ!」

「れ、伶士っ!」



近付く俺の姿を見ると、母さんもこっちに向かって駆け出してくる。



「大丈夫?大丈夫なの?!ケガはない?」

「母さんこそ、何でここに!危ないんだけど!」



すると、母さんは俺にしがみついて「はあぁぁ…」と、安堵の息をついた。