その痛みにもがくように、体を激しく揺すって暴れている様子だ。
今の攻撃でなずなの存在を認知したのか、一際大きい二つの手が襲いかかる。
振り上がったその手は、なずなを狙って風を起こして勢いをつけて振り落ちるが、そこは後方に飛んで回避した。
次々と連続してハエタタキのようにバン!バン!と手は振り落ちてくるが、次々とそれを後方左右に飛んで俊敏に避わしていく。
俊敏…過ぎる。
今までの比じゃない、この動き!
そして、回避の着地と共に地面を蹴って、獲物であるバカデカい手に向かって飛び上がる。
飛び上がる…飛んだ?え?!
その跳躍力は、尋常ではない。
何メートル飛んだ?!
「なずな!手は構うな!…体と頭を狙え!」
「…わかってるっつーの!」
手をかけて、そのバカデカい手の上に飛び乗る。
バカデカい手の甲で、いつものように腰に手を当てて偉そうに立っていた。
「いい眺めだな…?」
そのバカデカい手は、この地上から何メートル上にあるんだろうか。
そこから無数の手を見下ろしながら、右の掌を天に掲げる。
白い光の粒子が次々と、掌の上に集まっていて。
それは、蓮の華を象る。
「…白蓮華!」