光がその言葉に反応したかのように、急激に大きくなり、輝きを放つ。

逆光で姿が一瞬見えなくなった。



目が慣れてきたと凝らしてみるが…。

…その場には、もうなずなの姿はなかった。



…え?

い、いない?!



(ど、どこ…あっ!)



探す間もなく、その姿を見つける…が。



「…調伏してすぐに楽にしてやる!…だから、歯食いしばれぇぇっ!」



なずなはすでに、妖怪の方へと叫びながら突っ走って行く。

…え?この一瞬で、あんなところまで?

やけに速くないか…?!

よく見ると、足の回転が速いワケでもない。

飛び出しの勢い、光速移動?



そんな素早く走りながらも、なずなは拳を構えている。

その拳にはすでにあの薄い朱色のベールが集まっていた。

あれ、度々ぶっ放している技…!



「…朱霊華!」



踏み込んで、その拳を放つ。

放たれるベールは、放流された水のように勢いを増していく。

今までより遥かにすごい威力…!

無数の手をすり抜けて、体幹と思われる箇所に直撃し、爆発音を鳴らしていた。

ダメージになったのか、妖怪は汚い悲鳴を響かせる。



《ウガがガがァアあああっ!!》