★★★
目の前には、無数の手だらけのおぞましい姿の妖怪。
…これは、普通の人間の霊が、心ないヤツの手によって変貌を遂げてしまった姿だった。
菩提さんは、先ほど取り出した小刀の鞘を抜いて、左右それぞれ一本ずつに握る。
「…ナウマクサンマンダポダナン・バザラ・ボク・ケン…」
すると、手に持っていた二つの小刀が同時に光る。
そして、それをおもいっきり床に突き刺して、手を合わせながら、ブツブツと真言を唱える。
その二本の小刀は、床に突き刺さったまま、輝き続けていた。
「伶士くん、結界張ったから。俺の後ろにいて」
「はい…」
返事をすると、振り返っていた菩提さんは優しく笑ってくれる。
…さっきの冷たいオーラはどこへ。
そして、前を向く。
指を二本立てて、呟いた。
「荒ぶる妖の動を封じよ…急急如律令、不動縛」
そう呟いて、その手を妖怪に向かって払う。
すると、妖怪の獰猛なその動きをピタッと止めた。
《ヴアァアぁぁァアーッ!》
妖怪は、バタバタともがいている様子だ。
「なずな、お膳立ては済んだぞ。手筈はいつもと同じだ。攻撃で弱らせたところで調伏…やれ」
目の前には、無数の手だらけのおぞましい姿の妖怪。
…これは、普通の人間の霊が、心ないヤツの手によって変貌を遂げてしまった姿だった。
菩提さんは、先ほど取り出した小刀の鞘を抜いて、左右それぞれ一本ずつに握る。
「…ナウマクサンマンダポダナン・バザラ・ボク・ケン…」
すると、手に持っていた二つの小刀が同時に光る。
そして、それをおもいっきり床に突き刺して、手を合わせながら、ブツブツと真言を唱える。
その二本の小刀は、床に突き刺さったまま、輝き続けていた。
「伶士くん、結界張ったから。俺の後ろにいて」
「はい…」
返事をすると、振り返っていた菩提さんは優しく笑ってくれる。
…さっきの冷たいオーラはどこへ。
そして、前を向く。
指を二本立てて、呟いた。
「荒ぶる妖の動を封じよ…急急如律令、不動縛」
そう呟いて、その手を妖怪に向かって払う。
すると、妖怪の獰猛なその動きをピタッと止めた。
《ヴアァアぁぁァアーッ!》
妖怪は、バタバタともがいている様子だ。
「なずな、お膳立ては済んだぞ。手筈はいつもと同じだ。攻撃で弱らせたところで調伏…やれ」