すると、それに反応するかのように、風が起こる。

俺が横たわっている辺り一面に敷き詰められた黒い羽根が、風に乗って舞っていた。



(気持ち悪い…)



黒い羽根が舞って、体にまとわりつく。

肌に貼り付いた黒い羽根の感触を不快に感じた。



気持ちが悪い。

苦しくて、居心地が悪い。

混沌として真っ暗で、何も見えない。



孤独で…寂しい。



助けてくれ。

こんなところに、居たくない。




(光は…?)




もう、何も見えないんだ。

どこに何があるのか。



どれだけもがいても、その手には何もかからない。

ダメなんだ、もう。




俺には、結局何も…ない。




絶望を感じたって、目の前の景色は変わらず。

ただ、ただ漆黒の暗闇。



何も、ないんだ。






…そうかな。




《…れい…し?》



その時、どこかの片隅で。

俺の名前を呟く声がした。



(…誰?)



敷き詰められた黒い羽根からそっと離れるように、顔を上げる。



(…どこ?)



誰か、いるのか?

どこ?どこなんだ?



《…い…し…》