タクシーのドアがバタンと閉まる。
「トゥイットラグジュアリーホテルまでですね」と、タクシーの運転手は行き先を呟いて発進した。
…何で、行き先知ってんだ?
考えれば、考えるほど。
おかしすぎる。
でも、何で?
そこを疑問に思わなかったのだろうか、わからない。
(行かなくちゃ…)
何で、ここまでしてどうして、母さんのいるホテルに向かおうとしてるのか。
理屈では言い表せない何か…なのか?
行かなくちゃいけない。
ただ、それだけだった。
…まさか、これが罠だってことも。
考える由もない。
「なずなさん!…伶士さまが、伶士さまがどこにもおりません!」
「これ?…やられた!…忠晴さん、車準備して!私は剣軌に連絡するから!」