「人間の飛ばす思念体が、生き霊と言われています。ですが、鹿畑さんは亡くなりました。よって、思念体は飛ばせなくなり、生き霊は現れなくなるのですが…しかし、これで終わりではありませんでした」

「それって…」

「鹿畑さんの生き霊は、亡くなった直後に死霊へと姿を変え、伶士くんの前に現れてます」

「…だから、誰かが生き霊…じゃなかった、今度は死霊を煽って妖化させてるんだ!」


またしても、なずなが興奮気味に話に割り込んでくる。

「なずなうるさい」と、菩提さんは、なずなの頭をコツンと叩く。



「…そして、霊が妖化しかけている状態で接触してきました」

「…妖化って何だ?」

「妖化とは、名前の通り『妖怪へと化すこと』です」

「よ、妖怪?!」

「本来『死霊』の状態ですと、成仏し、霊界にて転生を待ちますが…これが『妖怪』となってしまうと成仏できず、この世を永遠に妖怪の姿で彷徨い続けることになります。そして、人間にイタズラするようなことがあれば、退魔調伏させねばなりません」




そうか…。



《…やめろ!生き霊でも死霊でもない…妖怪になっちまったら、行き場が無くなるぞ!》




そして、退魔調伏…陰陽師が捩じ伏せなくてはならなくなるって、こと。