「なずなの言うとおりです。ただの人間の生き霊がカタチあるものとして登場することはまずありません。…あるとしたら」



菩提さんがまた、ふぅ、と息をつく。



「…恐らく、我々のような、霊力をコントロール出来て、それを生業とする者…でしょうか。それなら、人間の生き霊を妖怪のように振る舞わせることも容易いでしょう」



また、ようするに。

その第三者といわれる術者がいて。

そいつが、その鹿畑さんの生き霊に、手を貸して煽っている。

本来、あり得ない生き霊の実体化を手助けし、妖怪のように振る舞わせる…すなわち、俺を襲わせた。



「…ひょっとしたら、その第三者である術者によって、故意に伶士くんを狙わせた可能性もあります」

「なっ…菩提!それは話が変わってくるだろが!」

「はい。現在、事務所の者に術者を特定させています。それに、厄介なのはそれだけじゃありません」

「は…」



そして、ここから話されることは。

これからのこと、だった。



「…鹿畑さんは、お亡くなりになりました。よって、もう生き霊ではありません」



菩提さんの一言に、親父と俺は揃って首を傾げる。



「…って、どうなるってことなんだ?」