「変わったこと…ですか?」
菩提さんは、優しい笑顔のまま頷く。
「うん。例えば…いるはずのない人の声が聞こえたとか、物音とか…」
「…あ!」
その質問に、逆にビビった。
何でわかるんだ?と言いたくなるくらいドンピシャだ。
それは、おもいっきり心当たりがある。
俺のリアクションで、菩提さんも理解したようだ。
「そうなんだね。どんなモノだったか教えてくれる?」
「はい、それは…」
《…私を!…愛して!》
「…ふーん。女の声で。またクレイジーだね。背中を触ったり、口を塞いで椅子から転げ落とすなんて」
驚く様子もなく、菩提さんは淡々とタブレットの画面にタッチし文字打ちをしている。
俺の今の話を記録している?
「体調はどう?」
「は…えぇっ?!」
「頭痛いとか、体が怠いとか、眠れないとかない?」
「あっ…確かに、頭痛はたまにで、毎日疲れが取れてない感じはあります。部活の大会近くて忙しいからかと…」
「それは早く何とかしないとね」
本っ当に、俺の想像していた陰陽師とは全然違う。
まるで、医者の問診みたいだ。