「とりあえず何か飲む?」と聞かれ、注文したアイスコーヒーが出てきた。

そのアイスコーヒーを啜りながら、タブレットを動かしている菩提さんの話を聞く。




「えーと…依頼人、橘伶士くん、16歳。市立星天高校の一年生、橘社長の次男さん…ですね」

「はい」

「で、橘社長の話に寄ると、今朝、食事の最中に胸を押さえて苦しがっていると思ったら、急に椅子から転げ落ちて倒れる。そして、顔にはこんな口紅キスマークだらけに…」

そう言って、菩提さんはタブレットの画面をこっちに見せる。

「………」



なんだ。この写真は。

いつの間に…そういや、忠晴が親父に命令されて写真撮ってたな。



俺の朝の惨劇の写真…。

顔、口回り、胸元に無数に付けられた口紅キスマーク。

シャツもこんなに胸元ビリビリに破られていたのか。

こうして見ると、本当に辱しめられた感がある。

親父が『犯された』というのも、わかるような。



絶句だな…。



その辱しめられたおぞましい写真を凝視していると、「伶士くん」と声を掛けられハッと我に返る。

見すぎた…。



「す、すみません」

「…この出来事が起こる前に、何か変わったことはなかった?」