なずな、もしかして。
俺の親父に対する気持ちを知ってるから、気を遣って代弁してくれたんだろうか。
だとしたら、嬉しいような…恥ずかしいような。
俺、情けないような…。
「…しゃちょー、いいよね?」
なずなの声が低くなる。
まるで、確認…?
親父は、言葉に詰まっているようだったが、しばらく考えてから首を縦に振る。
「…わかった。それならこっちで話そう」
すると、親父は引き返してリビングに戻る。
そうして、話が始まることとなるのだった。
…だが。
この話の内容は、俺にとっては非常にショックが大きいモノであり。
聞かねばよかったと、後悔し、混沌とするのは間もなく。
まさか。
俺の知らないところで、こんなことがあっただなんて。
「なずなはあんなことを言いましたが…本当によろしいですか?社長」
ダイニングテーブルを囲んで、なぜか立っている俺達。
そんな中で、菩提さんが親父の顔を見て今一度確認をする。
親父は少し考えてから、返答した。
「…あぁ、いいさ。しょうがない。被害者は伶士なんだ。そこは納得だ」