バケモノの叫び声と共に、地がまたカタカタと揺れ出す。
それと同時に、今度はあちこちからさっきの黒いモヤの柱が、またしても間欠泉のようにドン!ドン!と音を立てて、天に向かって噴き出している。
噴き出す度に地が揺れて。
「…わっ!」
離れたところからその状況を見ていたが、その衝撃に思わず声をあげてしまう。
「やめろ!…と、言っても、もう届かねえか」
その黒いモヤの間欠泉の最中にいるなずなは、それを俊敏な動きで回避しながら後退させられている。
「ならば…抑える!」
『取り敢えず落ち着かす』から、『抑える』になった。
足で地面を弾いて後ろに飛んで下がる。
しっかり着地して、スッと立ち上がった。
「ナウマク・サンマンダ・ボダナン…アロリキャ・ソワカ」
そう唱えながら、複雑に指を絡める。(これ『印』というらしい…)
そして、二本の指を天に向かって掲げる。
すると、薄い朱色の艶やかなベールが四方から集まり、なずなの頭上で花を象っているかのように動いていた。
これは、見たことがある…。
先日、俺の部屋で。