先ほどの崩れた顔貌と、大きいバケモノの手なんか、比じゃない。

顔が粘土のようにドロッと横に広がって崩れており、もはや顔ではない。

手も更に大きくなって、もはや体の何倍もある大きさだ。




まさに、妖怪。

この世のものとは、言えない…!



先ほどの人間の姿がこんな風に変貌を遂げるとは、恐怖でもあり…ショックだ。



「…ちっ!術はうまくいったってのに!何で…!」



と、言いかけて、なずなはハッと何かに気付いたかのように目を見開いた。

そして、焦って辺りをキョロキョロと見回す。



「まさか…いるのか?!」



すると、バケモノへと変化した女性の方から音がする。

…いや、音ではない。




《ウォぉォぉぉォぉ…うォぉォぉぉォぉォぉっ!!》



叫び声が…。

でも、もう叫び声じゃない。

もう、耳障りな騒音でしかない。

あまりの大きな騒音に、思わず耳を塞いでしまう。



そして、その異常な大きさの手が…光り出す。

騒音の叫び声をあげながら。




《ウォぉォオぉぉォぉおオぉォぉぉォぉォぉっ!!》