「…唐紅の錦・黄金色の稲穂・橙の狭間・金色の絵巻…」



《ぎャあァアあぁアぁぁ…》



その言葉が並べられるに連れて、女性は体を抱え、汚くおぞましい悲鳴をあげ出す。

まるで、苦しんでいるような。



「…鳳来の竪琴・白金の刃・馬羅の音色・濃く現わるる花影…」




…と、思ったが。




《…アぁぁァァ…やメてャめテ…やめて…》




言葉が…?



獣のような汚い悲鳴をあげるばかりだったのに。

『やめて』って…言ったか?




言葉だけではない。

彼女を取り巻く黒いモヤが…退いていく。

動画の巻き戻しのように、黒いモヤは地面に吸い込まれていくのだった。





「…蓮華の朝露・紅き太陽の恩寵・紺碧の天空…」




《…一緒ニ…来てヨ…!》




散々、歪んで崩れていた彼女の顔貌が…徐々に戻っていく。

人間のカタチに、なっていく…。




「…深紅の迷宮・象牙の砂嵐・光竜の牙…」




《…あなた以外の人なんて、いないの…》





「…流星…」