「れ、伶士さま!大丈夫ですか?!」
俺達が走ってくるのを見かけたのか、忠晴はすでに後部座席のドアを開けたまま待っていて。
二人とも、開いたドアの向こうに飛び込むように車に乗り込む。
「忠晴さん、車すぐ出して!」
「了解です!」
座席に座って落ち着いたと思ったら、車はすぐに発進した。
(あぁ…)
さっきから。
あの女の悲鳴を耳にしてから。
頭の中が、ぐるぐると回っている。
眩暈か…?
何だか、体が熱くて。
汗が止まらない。
「苦しい…」
思わず呟くと、グラッときて、目の前が真っ暗になってしまう。
「…伶士?…わっ、熱っ!」
そのなずなの声を最後に。
意識がだんだん遠退いていき。
暗闇の中へ、落ちた。