しかし、そこで玄関の方から物音がする。



「旦那様がお帰りになられました」



そう言って、忠晴が玄関へと足を運ぶ。

親父か。

帰り早いな。

廊下でちょうど、なずなと鉢合わせている。



「おっ、なずな」

「…あ、しゃちょー帰ってきた」



廊下で何やらこそこそと話をしている。

その会話の内容はここからは聞こえない。

何だろう。



「…ちょっと来い」

「あい」



そうして二人は、こっちに顔を出すこともなく、そのまま廊下を歩いて行ってしまう。

親父の書斎に行ったんだろうか。



いったい、何の話をするんだろう。

俺のこのバケモノの件?

…いやいや、顧問陰陽師だから、俺の件以外にも話はあるはずだ。



いったい何を…。



…気になる。








「…親父と何話してたの?」



本日で5回目のお泊まり会トークの始まり。

ベッドに転がったまま、さっきから気になっていたことをズバリ聞いてみる。

なずなは、もうお馴染みミノムシ寝袋の中でうつ伏せでスマホをいじっている。



「…え?…仕事の話」



ためらいもなく、あっさりと答えられた。