そんなことを考えると。
俺のために申し訳ない…と思ってしまい。
気になって気になって仕方なくなるのだった。
あの夜這い以来、バケモノは来ない。
もう、大丈夫なんじゃないか?
…とは、思っていても。
バケモノの出現とは逆に、なずなが電話している回数が多くなった。
相手は恐らく菩提さんだろう。
「…え?…どこにもいない?…じゃあ、ひょっとして、剣軌の予測Bのセン?…」
本日は、水曜日。
学校も部活も終わって家に帰ってきたら、すでになずながリビングにいた。
電話で話している最中だ。
「…札幌近郊しらみ潰しに当たってよ。…病院だけじゃないよ?あの、その…ホスピタルってやつ…え?それ病院って意味なの?ああぁぁ…」
ソファーに座っていたが、立ち上がった。
スマホを耳に当てながら歩き出していて、廊下に出ようとする。
帰ってきた俺に気付いたのか、サッと手を上げてそのまま通り過ぎていった。
どうした。
まるで、キャリアウーマンのように忙しくしてるぞ。