「すみません…」と、申し訳なく頭を下げて、受話器を受け取る。



「…もしもし」

『おぉっ!伶士!…大丈夫か?!大丈夫なのかあぁぁっ!!』

「…え?」



血相変えている様子が伺えるその口調に、首を傾げてしまう。

が、その心当たりはすぐに思い出された。



あ…。朝の件…?

超常現象もしくはイタズラの件?




「…忘れてた。っつーか、忘れるぐらいなんだから大丈夫なんだよ!ったく、そんなことでいちいち電話してくんな!北桜学園とは勝手が違うんだぞ!」

『だ、大丈夫なワケあるものか!あんな犯されたような目に合って、よく平気でいられるな!』

逆に怒られた?

犯されたって…口紅べっとり顔と胸に付けられただけだろ。



すると親父は、気を取り直す意味なのか、咳払いをひとつする。



『…まあよい、伶士。念のために、おまえのお祓いを陰陽師に頼もうかと思ってな?』

「お、おんみょうじ?!…それ、今ここで聞かなきゃいけない話?」

『そうだ!…てなわけで帰り、今から言う場所に向かってくれ。橘の名前を言えばわかるようにしてある』

「は…はぁっ?!帰り?!」

『そこにうちの顧問陰陽師を待たせておく。ちゃんと事情説明し、質問にはちゃんと答えるように』